Posts Tagged 村上春樹

【book】1Q84 BOOK 2

Posted by kharuna on 日曜日, 3 1月, 2010

「BOOK1」のレビューに引き続き、「BOOK2」も読み終わりましたので、感想を書きます。

僕はこの「1Q84」で何が良かったって、青豆さんという主人公の一人と宗教団体「さきがけ」のリーダーが会話するところなんですね。ここはもう集中力マックスでした(笑)。周りの音も聞こえないくらいに文章に引き込まれてましたよ。

村上春樹のいいところとして、勧善懲悪がはっきりしていないところがあります。インタビューでも、原理主義のようなはっきりしたことよりも、しっかり自分で考えることが大事じゃないかと受け取れる発言をされています。

【『1Q84』への30年】村上春樹氏インタビュー(上) : 出版トピック : 本よみうり堂 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

原理主義の問題にもかかわる。世界中がカオス化する中で、シンプルな原理主義は確実に力を増している。こんな複雑な状況にあって、自分の頭で物を考えるのはエネルギーが要るから、たいていの人は出来合いの即席言語を借りて自分で考えた気になり、単純化されたぶん、どうしても原理主義に結びつきやすくなる。スナック菓子同様、すぐエネルギーになるが体に良いとはいえない。自力で精神性を高める作業が難しい時代だ。

青豆さんとリーダーが話し始める前は、実はそれなりにどちらが善でどちらが悪かというのは、読んでいれば伝わってきます。しかし、ここの会話を通して、その価値観が崩れてくるのです。非常に面白いです。文章だけで僕の(読者の)価値観を変えてくるんです。物語の力はすごいと思いました。そして、善か悪かはっきりしないまでも、きちんとその会話に決着をつけるところがこれまたすごいと思いました。ここの会話のシーンは、本当に引き込まれます。

ラストはなかなか心地よい終わり方だなと思ったのですが、なんと2010年4月に「BOOK 3」が出るそうです。すっごい楽しみですね。


【book】1Q84 BOOK 1

Posted by kharuna on 日曜日, 3 1月, 2010

村上春樹さんの2009年に大ヒットした本「1Q84 BOOK 1」をこの年末に読みました。

あいかわらず、すごい「吸引力」がある文章です。「吸引力」というのは、「ついつい文章に引き込まれて読んでしまう力」のことです。村上春樹さんは、この「吸引力」が多くの小説家の中でずば抜けていると思います。とにかく、一度読み始めると止まらなくなっちゃいますね。

村上春樹の長編小説というと、僕は「ノルウェーの森」、「海辺のカフカ」、「ねじまき鳥クロニクル」を読んだことがあります。「ノルウェーの森」は村上春樹の小説には珍しく、非現実的な部分がなく、真正面からの恋愛小説です。「カフカ」、「ねじまき鳥」は村上春樹らしいと言えますが、やはりそれぞれに個性があります。個人的には「ねじまき鳥」が好きなのですが、あの小説はラストがもう一つググッと来ませんでした。

今回の「1Q84 BOOK1」ですが、天吾という30歳前後の青年と、青豆というこれまた30歳前後の女性が主要な登場人物です。そして、この二人の物語が交互に描かれるという手法をとっています。終盤に、二つの物語が収束していくわけですが(BOOK2の話)、非常にうまくまとまっていると思います。村上春樹、うまいなぁと思いました。

文章自体はとても平易にできており、誰でも読めると思います。ただし、村上春樹の特長というか、超現実的(ハイパーリアル)なストーリーには好き嫌いが出ますね。実際、うちの母は「村上春樹の本はさっぱりわからんわ。」と言ってあまり読んでません。ちなみにうちの母が好きな作家は、宮尾登美子とか及南アサです。

僕は今回の「1Q84」は、大好きです。登場人物がそれぞれ悩みを抱えているのですが、ストーリー自体はそれほど重くありません。宗教団体なんかも出てくるのですが、やはりソフトに描かれていて、夢のように感じるところもあります。ただ、夢のように感じても、主人公たちの生活がすごくきめ細かく書かれているので、そこのバランスが絶妙なんですよね。引きつけられるポイントだと思います。

読売新聞でのインタビューで村上春樹がこう言っています。

【『1Q84』への30年】村上春樹氏インタビュー(上) : 出版トピック : 本よみうり堂 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

日本人は1995年にたてつづけに起きた阪神大震災とオウム事件で、「自分はなぜ、ここにいるんだろう?」という現実からの乖離(かいり)感を、世界よりひとあし早く体験した気もする。僕の小説は、『ノルウェイの森』を除いて、いわゆるリアリズムの小説ではないが、それゆえ新しいリアリズムとして、世界中で受け入れられ始めているのを感じる。9・11以降はとくに。

(中略)

作家の役割とは、原理主義やある種の神話性に対抗する物語を立ち上げていくことだと考えている。「物語」は残る。それがよい物語であり、しかるべき心の中に落ち着けば。例えば「壁と卵」の話をいくら感動的と言われても、そういう生(なま)のメッセージはいずれ消費され力は低下するだろう。しかし物語というのは丸ごと人の心に入る。即効性はないが時間に耐え、時と共に育つ可能性さえある。インターネットで「意見」があふれ返っている時代だからこそ、「物語」は余計に力を持たなくてはならない。

あまりメディアに出てこなかった村上春樹が、阪神大震災とオウム事件で少しずつ社会と接点を持つようになった話はよく聞きます。今回の「1Q84」には、そういうエッセンス(学生闘争や新興宗教)がたくさん入っており、村上春樹なりの解釈が入っているように思えます。後の感想は、「BOOK2」に回します。


【book】海辺のカフカ

Posted by kharuna on 金曜日, 1 5月, 2009

さてさて、映画もさることながら、本も読んでますよ。相変わらずここ最近は村上春樹さんです。「ねじまき鳥」、「ノルウェーの森」、そしていくつかの短編集を読んで、この「海辺のカフカ」にやってきました。なんとなく順番的にどうなの?って気もしますが・・。

海辺のカフカ〈上〉
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で、やっぱり面白かったですよ、この「カフカ」も。村上さんの非現実的な世界が壮大に広がっていますね。いきなり非現実ではなくて、いつのまにか非現実なところもお気に入りポイントです。いつものように、「これはどういう意味なんだろうか?」、「村上春樹としては、このストーリー、登場人物を通じて何を言いたいのだろうか?」と言う事を考え出すとものすごく深みにはまっていくような気がします。でもそういうのって大事ですよね。で、やっぱりいつものように答えは出ないまま、最後まで読んでしまうというパターンでした。まあ、でも村上春樹の膨大な読書量に裏付けされたストーリー展開を、完全に理解しようと思ってもなかなか難しいですよね。ただ、そこで諦めるのではなくて、少しでもその領域に近づけることができればな、とは思っています。

田村カフカくんとナカタさん

海辺のカフカっていうタイトルからすると、どこか外国の物語なんだろうかと思っていたのですが、めっちゃ日本国内の物語でした(笑)。田村カフカくん(本名ではない)という15歳の少年が主人公なんですよね。で、アマゾンかどこかのレビューにあったのですが、通常の15歳に比べて、田村カフカくんはめちゃめちゃ大人びています。「そんな15歳いないだろー!」ってくらいです。でもまあ、いると思えばいるかもしれないな、とも思う。そしてこの物語にはもう一人、主役級の人間が登場します。ナカタさんというおじいさんで、この人の特徴は猫と話せることです。ナカタさん、僕は大好きな登場人物ですね。で、「海辺のカフカ」は、このカフカくんの章とナカタさんの章が交互に書かれている小説です。

大公トリオ

物語の途中で、ナカタさんをサポートする星野さんという若いトラックの運転手が登場します。この人、だんだんナカタさんに惹かれていって人間性が変わっていきます。その時にベートーベンの「大公トリオ」という音楽がキーポイントになるのですが、僕は思わずこの「大公トリオ」を買ってしまいました。なかなかいいクラシック音楽です。しかし、村上春樹の音楽に対する気持ちはすごいですね。小説読んで音楽CD買っちゃうなんて、今までそんな経験したことないですよ、たぶん。さすがです。

分類が難しい

よく友人から、「村上春樹ってどんな小説、ストーリーなんですか?」って聞かれるんですけど、これ、どんなふうに答えればいいのかいつも困ってしまいます。そういう意味ですごく複雑ですよね、村上春樹の小説って。でも読み始めるとすごく面白いんです。この「海辺のカフカ」も然りです。ぜひ、このGWに読んでみてください。


【book】ノルウェイの森(下巻)

Posted by kharuna on 日曜日, 1 3月, 2009

村上春樹さんの本、「ノルウェイの森(下巻)」を読み終わりました。

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面白かった

この表現があっているのかどうかわかりませんが、面白かった・・。というか、かなり引き込まれました。この本、確か僕が小学生か中学の頃にベストセラーランキングを独走していたのを記憶しているのですが、今読んでもとても楽しめます。

何が良いのだろうか

ストーリーにそれほど劇的な変化はないように思うのです。主人公のワタナベくんと、その周りの人たちとの恋や悩みの物語なのです。僕が印象に残っているのは、レイコさんが如何に精神的に病んでいったかが描かれているところです。

レイコさんと言うのは、ワタナベくんの恋人と一緒に住んでいる年上の女性なのですが、あることがきっかけで、大きく精神的に病んでしまうという人生を送っています。その辺のいきさつが僕にとっては妙に心に響きました。村上春樹の描写が、とても現実的で本当にありそうなのです。村上春樹は想像で書いているのだろうか、それとも何かモデルのようなものがあるのだろうか・・・。

精神疾患と、性描写

見出し通り、この本には、精神疾患と性描写がたくさん出てきます。ネットでいくつかこの本のレビューを読んでみたのですが、この2つのファクターはなかなか大事なのだそうです。僕には、まだその大事さがよくわからないのですが、でも確かにこれらに大きく引きつけられたと思います。自分でもなぜだかよくわかりません。

他の作品も読んでみよう

今のところ、村上春樹さんの長編小説は、「ねじまき鳥クロニクル」とこの「ノルウェイの森」を読みました。読んだあとで、ネットでの評価を見てみると、「ねじまき鳥」は、かなりの賛否両論。「ノルウェイの森」は、村上春樹の分岐点になっているとの文章もありました。というわけで、他の作品にもかなり興味津々なので、引き続き読み進めてみたいと思います。


【book】ノルウェイの森(上巻)

Posted by kharuna on 木曜日, 12 2月, 2009

村上春樹さんの大ベストセラー作品、「ノルウェイの森(上巻)」を読みましたよっと。

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上巻だけですけど、毎晩お風呂に浸かりながら、しっかりと読みました。相変わらず村上春樹さんの文章には、引き込まれます。

主人公は村上春樹に似ている

主人公の「ワタナベ」くんは、とても作者の村上春樹に似ています。どちらも神戸で育ち、東京の大学に入り、そしてスコット・フィッツジェラルドというアメリカの作家が大好きなのであります。

ちなみに、この「ノルウェイの森」を読む前に、スコット・フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」を読んでおくと、ほんのちょっとだけわかる部分が増えると思います。ほんのちょっとだけなので、読まなくてもそれほど問題はないかと思います。

非日常的な部分はそれほどない

村上春樹の小説といえば、短編集を何冊かと、長編では「ねじまき鳥クロニクル」を読んだくらいなのですが、そのどれもが、「日常生活からシームレスに非日常的なシーンに変わっていく」という印象を受けました。例えば、「ねじまき鳥」だと、普通の生活を送っていた主人公の男が急に何日も井戸の中で過ごすようなことです。

「ノルウェイの森」は、上巻だけですけどそういう非日常的なシーンは特になかったように思えます。こういうところが、「ノルウェイの森は村上春樹の作品の中では異色なのよ!」と友人に言わしめる所以なのでしょうか。

読み込ませる文章力は素晴らしい

ただ、そういう非日常的なシーンがなくてもやっぱり村上春樹さんの文章はすごいと感じさせてくれます。非常にきめ細やかな描写で、しかも全然押しつけがましくありません。「ミドリ」という女の子が登場人物で出てくるのですが、このミドリがなぜ料理が得意なのか語るシーンが、なぜか面白いのです。特に奇をてらっている文章でもないのですが、非常に魅力的な文章なのです。これはもう春樹ワールドがなせる業なのでしょう。

何が言いたいのか

僕は、ちょっと前に吉本隆明さんに影響されて、「その作家がどういう気持ち、意図でその内容を書いているのか、それを感じるのと感じないのとでは大きな違いがある。」という意識を持って小説を読んでいます。いわゆる「モーツァルトの楽譜をただ弾いているのと、モーツァルトがどのような気持ちでその音楽を作ったのか考えながら弾くのとでは大きな違いがある。」というものです。

「ノルウェイの森(上巻)」を読みながら、村上春樹はなぜこのような小説を書いたのか、そういうことを考えていました。でも答えは出ていません。単純に恋愛小説を書きたかっただけなのか。どうなんだろうなぁ。そういうこと考えながら小説を読むのもなかなか楽しいです。さて、下巻も楽しみだ。