木村大作監督作品、「劔岳 点の記」を見に行ってきましたよ。ちょっと今回はランキングをつけるというような気分ではないというか、この映画はエンターテイメント性はもちろんあるのですが、ドキュメンタリー性もあるので、あえてランキングはつけずにレビューしたいと思います。
ひたすら山登りを撮影した映画
もちろん、山以外のシーンもあるのですが、基本的に山登りの苦楽を撮影した映画です。主人公は浅野忠信演じる柴崎芳太郎で、実在する陸軍測量部の技師です。軍からの命令で、前人未踏と言われる富山県の劔岳に登ることになります。
山の案内人には、香川照之演じる宇治長次郎。この人もやはり実在の人物です。山登りは基本的にこの2人が中心となり、測量部を山の頂上へと導きます。見ていて思ったのですが、多少のエンターテイメント性は感じましたが、やはりそれよりも山登りの厳しさ、そしてその合間に少しだけ味わえる山登りの楽しさを淡々と撮影した映画と言えます。
木村大作監督
そんな素朴な映画の監督は、黒澤明作品でカメラマンを勤めてきた木村大作さんです。もう70歳になろうかという年齢にもかかわらず、今回のような厳しい撮影に取り組まれました。Wikipediaにも載ってますが、ピント合わせが抜群にうまいカメラマンで、黒澤明監督からも一目置かれているような人だそうです。確かにこの映画、雪山というカメラマンにとってはなかなかハードな状況であるにもかかわらず、俳優さんの表情がかなりきちんと写っているんですよね。そういう点ではとても見やすく完成度の高い映画だと思います。
ちょっと古さを感じさせる映画
いいところでもあり、ある意味、悪いところでもあると思うのですが、この映画、ちょっと古さを感じさせるものがあります。最近の映画は、何かと観客を裏切ったり、脚本の妙を前面に出したり、すごい映像を作ったりして、何かと他との差別化を図っています。この「劔岳」は、そういう(誤解を恐れずに言えば)小手先の技術にこだわらず、ただただ山登りを撮影しています。直球勝負ですね。僕はこういう映画、好感が持てていいと思います。逆にこういう映画、あんまり見ないですよね、最近。
日本山岳会とのやりとりなど
主人公の柴崎は陸軍の命令により劔岳の頂上を目指しますが、もう一つの民間団体、「日本山岳会」も登場します。この団体は測量などは関係なく、比較的趣味のレベルで日本の山々を制覇しているグループです。この日本山岳会と陸軍測量部のどちらが早く劔岳の頂上にたどり着けるか、ということもストーリーの一部に組み込まれています。僕はこの辺の話も好きですね。仲村トオルも好演しています。
あと、ネタバレになるので詳しくは書きませんが、ラスト、頂上でのちょっとしたエピソードもなるほどと思いました。これが現実かと。まあ、そういうことも含めて、渋い映画が好きな人にお勧めですね。逆にエンターテイメント性を求める人にはあまりお勧めできないかも。