【book】夏目漱石「こころ」
夏目漱石の「こころ」を読了しました。
新潮社
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一生のお供になります。
きっと100年後の人間にも伝わるだろうこころ
「文学」の醍醐味を教えてくれた重層的構図
長編小説なんでねえ・・・
人間の中身
何を今更と言われそうな作品ですが、最後まで読んだのは初めてです。教科書でちょこっと読んだことはたぶんあるのですよ。
最近、お風呂で文学作品を読むことが多くて、しばらく伊坂幸太郎を読んでいたのですが、「昔の本も読んでみたいな。」と思って、実はずっと心に引っかかっていた夏目漱石を読んでみようと思いました。
どうして夏目漱石が心に引っかかっていたのかは、今まで教科書などで少しずつ夏目漱石の文章に触れることによって、「あ、この人の作品はわりと自分と合うかも。」と直感的に漠然と思っていたのでした。
それで読んでみた感想ですが、やっぱり僕の直感は正しく、とても引き込まれる作品でした。あらすじは、いつものWikipediaから。
時は明治末期。夏休み中に鎌倉に旅行に行った際、「私」は「先生」と出会った。先生は大学を出ているが就職せず、奥さんとひっそりと暮らしている。先生は雑司が谷にある墓地(雑司ヶ谷霊園)へ墓参りに行ったり、私に対して「私は寂しい人間です」と言ったりする。私はそんな生活を送る先生の事に興味を抱き、先生自身の事を色々と聞いたりするが、先生は答えてくれない。奥さんとの間に子供がいない事も不思議に思うが、やはり答えてくれなかった。また、私に対して「恋は罪悪だ」など急に教訓めいたことを言ったりもする。そんな折に私の父親が病気を患っている事を話すと、先生は「お父さんの生きてるうちに、相当の財産を分けてもらっておきなさい」と、現実的なことを言い出す。
このあらすじはだいたい本の前半部分で、後半は「私」の父の病気のこと、そして「先生」の長い手紙という流れになっています。内容的には、人間のエゴについてじっくりと考えさせられる、重いものになっています。最近、僕は映画の「ダークナイト」といい、重厚なストーリーにとても心が惹かれます。
ただ、重いと言うだけでなく、夏目漱石の非常にきめ細かい心理描写が印象的です。おそらく登場人物の行動だけをたどっていけば、非常に短い淡々とした文章になると思うのですが、「私」の心が揺れ動く様が、とても丁寧に書かれているのです。僕はびっくりしました。そんなにたくさん本を読んでいるわけではないですが、ちょっとこの夏目漱石のような文体は、現代の作家にはあまり見たことがありません。
古いと言うことではなく、ここまで人間の心理をきめ細かく書いているのは初めて見ました。そして非常に引き込まれました。これは面白かったです。やっぱり僕は夏目漱石の文章は好きです。最後、がつんと長い「先生」の手紙が書いてあるのですが、きちんと終わっていることは終わっているのです。しかし、それを読んだ「私」がどのように感じたかは書いてありません。ここはとても余韻の残る終わり方だったと思います。しばらくぼーっとして、最後のページを眺めていました。それほど印象的な手紙でした。
ただ、一つ面白かったのは、「先生」の手紙は、とても長く、原稿用紙200枚以上あるような長さなのですが、その手紙が読まれる前に「その手紙を私は懐に入れ・・・」と書いてありました。どんだけでかい懐だ(笑)。まさか夏目漱石も「先生」の手紙がこんなに長くなるとは思ってなかったのかもしれないですね。非常に面白い文学作品です。
